遅延評価勉強法から生まれる副産物

おいらの言葉で言いなおすと「必要になったら、必要なところだけ勉強する」です。


たとえばプログラムを勉強するときに、「書籍を1ページ目からやる」のではなく「2ch掲示板が作りたいから必要なところを勉強する」のが遅延評価勉強法になります。


通常の勉強法と比べて、モチベーションが高く保てます。また、インプットとアウトプットがほぼ同時になされるので理解度、定着率がダントツに違います。


 遅延評価勉強法っていうのか。これはモロに僕の勉強法じゃないですか。
 大学2回生の時、ヒマつぶしに半年くらい勉強して気象予報士資格とった時には、いろいろな人に勉強法を聞かれたものです。どんなテキスト使ったの?どこのスクール通ったの?と聞かれて、まず最初に過去問10年分解いたよと言ったら、「なんだ、ただの天才か」と呆れられて、まともに取り合ってもらえませんでした。一般人にとってこの勉強法はすごく異端なのだと思います。


 この勉強法のメリットは効率がよくて定着してモチベーションも保持できるということなんですが、それ以外の2次的な効果というか、人が学習(特に独学)する上で役立つポイントについて書いてみます。

試行錯誤に時間を割くことができる


 これはdankogaiさんの言うとおりです。デメリットではなくむしろメリットですね。

遅延学習できないものはいくらでもあり、そして遅延学習できるものより多いのである。


遅延学習できないものを学ぶには、試行錯誤が欠かせない。そして試行錯誤というのは、遥かに手間暇がかかるのである。


そのことは、遅延学習の価値を下げるものでは全くない。むしろ遅延学習が効くものごとは積極的に遅延学習すれば、試行錯誤が必要な問題を解くための時間も増えるのだから。

勘がよくなる

まず問題集を大量に買ってきます。独自問題が載っているやつは避けて、入試問題だけが載っている問題集を買いました。


そして、予備校でやったノートを開きながら、いきなり問題を解く。原始時代を勉強しようと思ったら原始時代の問題を解く。当然、ほぼわからないからノートを見たり教科書を読んだり参考書を読んだりしながら進めていきます。


その分野の問題が終わったら、新しい問題集を持ってきて、また同じ時代を解きます。今度もあまりわからないから、ノートを見ながら解いていきます。


これが3,4冊目くらいになってくると、問題が多くかぶっていることに気づきます。すでに解いた問題をすぐに解いているわけですから、結構解けてきます。


 実はこの作業の本質は、仮説を立てることです。例えば「○○石器が出土したのは『  』遺跡」という問題があったとして、予備知識が無ければそれが教科書のどこに載っているのかすら分かりません。だからまず、「遺跡だから古代よね。多分教科書の最初くらいに載ってんじゃね?」とあたりを付けてから、徐々に範囲を絞っていきます。


 問題が難しいほど、その問題が教科書のどの部分に載っているのか見当を付けるのが難しくなります。教科書に載ってない問題も出てきます。そして、難しい問題に対して仮説→実験→検証のサイクルを短時間のうちに脳内で実行するクセが自然と身に付いてきます。


 これが一般に「数学的な勘」とか「直感力」と呼ばれるものだったりします。問題から想起される語感、イメージなどから考えうる無数の仮説を立て、その中から最も「らしい」ものを選びとることができるようになります。そのプロセスが異常に短時間なので、一般の人から見れば、最適な答えが一瞬で出せる、すげー。となるわけです。

基礎を学ぶモチベーションができる


 この方法にもう一つ欠点があるとすれば、本当に勉強した物事が系統的に理解できているとは限らないので、ちょっと突っ込まれた質問をされると咄嗟に答えられないことじゃないでしょうか。


 ソースは書けるんだけど、プロの人に「ここはなんでこの書き方なの?」と言われると閉口してしまう。そこでいろいろハッタリをかましてその場は乗り切るんだけれども、「ああ、やっぱり基礎は大事なんだな」と強く後悔の念を抱く。


 ここまでくれば、やっと初心者用の専門書を読む気になれます。先に実践ができているので、頭に入るのも早いです。ああ、あの時のこのコードは排他処理だったのか、こうやって書けばもっと動作が軽くなるのか、という発見があるので楽しいです。いきなり「よし、プログラムやろう!」と思い立って分厚い専門書を最初から読むよりははるかに効率的だと思います。