ツィゴイネルワイゼン - 鈴木清順 / 原田芳雄、大谷直子

 鈴木清順監督の作品は初めて見たのだがクレイジーなので大好きだ。何でかって周子役の大楠道代のエロさがハンパじゃない。ダンナの友人の目に入ったゴミを舌で取るところの上目遣いとかエロいを超えて畏敬の念すら感じるほど。あとアレルギーかじんましんかが出てるところもエロいし、桃とかいろんなものを食ってるところもエロい。この映画を成分分析すると8割くらいは大楠道代のエロさになると思う。あと大楠道代じゃないけど、こんにゃくのシーンは萌える。
 でも、主人公の中砂(原田芳雄)が最後に行き着くのは肉欲の否定なんだよね。肉に飽きて異常なほどの骨フェチになる。そこに本当の「生」があると信じる。だけどこの崇高な骨の幻想は、結局ただのリン酸カルシウムの塊に過ぎないということを、皮肉にも中砂本人の身をもって証明しちゃうわけですよ。だから次に中砂の妻(大谷直子)は、骨の幻想を捨てて中砂の思い出とかメンタリズムにその本質を見出そうとする。娘は「中砂の骨」ってところかな。
 まあ俺ら肉とか骨とかあっけどさあ、それだけで自分が生きてると思ってる奴はいっぺん死んでみたほうがいいよ。って言いたかったんじゃないのかな、あのラストシーンは。