温暖化議論の空しさを高校生にも分かるように説明してみる

環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks)

環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks)

 昨今、某武田先生のごとく「温暖化関係ねぇぞゴルァ」な環境問題懐疑論者が世間をにぎわしており、一部のマニアの間ではウケたり釣られたりしているようだ。まあ、やっとこのような健全な議論がマスコミで行われるようになったみたいで喜ばしい限りだ。


 というわけで、地球温暖化は起こっているのか?どうなのよ?という議論の無意味さを高校生でもわかるように説明しよう。テレビを見ていると、ニュースの天気予報コーナーでたまに3ヶ月予報というのを目にすることがある。気象庁の発表で、今年の春は気温が平年並みだとか例年より高いだとか言っているアレである。普段何気なく見ているが、アレを予報と呼ぶには程遠い。


tenki.jp(長期予報)
http://www.tenki.jp/tyo/66203z.html


 特に降水量。少ない30%、平年並み40%、多い30%がずらっと並ぶ。いびつな三角鉛筆を転がしたら大体こんな確率になると思う。3ヶ月後の天気など、気象庁のハイテクコンピュータを駆使しても、正直わかんねーよ。というのが実情のようだ。
 ちなみに長期予報は「アンサンブル予報」という手法を用いて作成される。アンサンブルというのはあの音楽のアンサンブルである。コンピューターで何百、何千の状態についてそれぞれ予想し、その平均をとる。一人一人は下手くそでも合唱すればメロディが聞き取れるようになるのと同じ原理だ。
 実はこのアンサンブル、相当デキが悪い。これは「決定論的カオス」といって気象予報士の試験では必ずといっていいほど出てくる概念に拠るのだが、ここでは詳しく説明しない。簡単に言えば、ほんのちょっとの違いが時間の経過によってどんどん大きくなり、予想もしないような現象を引き起こすということだ。というわけで、現在の技術では3ヶ月予報は不可能、というのが定説らしい。


 つまりだ、3ヶ月先が寒いか暖かいか予測できない現在の技術水準で、100年後の気温がどうのこうのという素人議論をすること自体がナンセンスだと言いたい訳だ。こんなことを書くと専門の方からお前は気象スケールの何を知っているのかと問い詰められそうだが、そもそもマクロ気象なんてENSOとか半年周期振動とか原因が明らかになっていないものが多すぎるのだ。温暖化然り。地球の神秘をナメてはいけない。


 むしろ予防原則とか排出権取引とか政策上の駆け引きのあれこれを笑って眺めるのがツウの楽しみ方だと思うね。


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